マスクの下では満面の笑みでいよう

もうかれこれ８～９年は通っていただいている方で耳が不自由な　お客様がいます。

最初は耳が聞こえないと気づかなかったので何も会話せずにソフトクリームだけ食べて帰っていっていたお客様。

何回か来ていただけるうちに少しずつ私と言葉を交わすようになりました。

もちろん、私は手話は出来ないのでお客様の少し出る声と身振り手振りを見て、お客様は私の口の動きを見て、会話します。

時には伝わらないこともあるけれど、時には二人で大爆笑して、一年に１，２度の訪問を私は楽しみにしていました。



今年はまだいらっしゃらないな～と思っていた所にひょいと表れて旭山を散策した後、お店に立ち寄ってくださいました。

ミニのソフトクリームを食べながら、「元気だった～？」と身振り手振りで聞かれました。

私も「元気だったよ～。元気でしたか～？」とガッツポーズをしながら聞きましたが、

悲しそうな顔で「何を言っているかわからないし、元気なく見えるよ」と言われました。

コロナが始まってからみんなマスクをしてて、お店に行ってもどこに行っても何も聞こえないし、わからない…と。

私も自分のマスクに手を当てて、ハッと思い起こしました。

口元を見て会話しているお客様には私の表情はもちろん、声も届きません。

お店の窓は全部開いているし、距離も十分に取って、マスクを外して話をすることにしました。

先日見たきれいな蝶のこと、春に会える丘で食べるおにぎりが美味しいこと、今年は新しく地図が出来たよ、

なんてたわいない話を10分ほどして、お客様はまた来るね…と笑顔で手を振って帰っていきました。



お客様が帰ったあと、今年の私はマスク下の表情は去年と同じく笑顔だろうかとふと考えました。

マスクをつけたことで笑顔になること、さぼってない？？

マスクをしていても、依然と変わりなく笑顔と気持ちはお客様に届けなくっちゃ！と思った出来事でした。

唯一見えている目は口ほどにものを言うと信じて、マスクの下でも満面の笑みでいようと思います。


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